N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチドと血圧・脈拍日間変動との関連
Association between N-terminal pro B-type natriuretic peptide and day-to-day blood pressure and heart rate variability in a general population: the Ohasama Study.
Journal of Hypertension. 33: 1536-1541, 2015. >>PubMed
【目的】 心筋ストレスマーカーとして知られるN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド (NT-proBNP)が、脳心血管疾患発症の予測因子である可能性が報告されている。本研究では、同じく脳心血管疾患発症の予測因子として報告されている血圧・脈拍日間変動とNT-proBNPが関連すると仮説を立て、これを検証した。 【方法】 対象者は、岩手県花巻市大迫町の住民で、虚血性心疾患・心房細動を有さない35歳以上の664名である。血圧・脈拍日間変動の指標として、朝家庭血圧1回目で得られた個人内全測定値の標準偏差 (SD)を用いた。血圧・脈拍日間変動と心不全の疑いを示すNT-proBNP≧125 pg/mLの関連を、性、年齢、body mass index、喫煙、飲酒、糖尿病、高脂血症、脳卒中既往、慢性腎臓病、降圧薬服用、家庭収縮期血圧、および家庭脈拍を調整項目とした多重ロジスティック回帰分析を用いて検討した。 【結果】 平均年齢±SDは61.9±10.4歳、女性が468名 (70.5%)であった。NT-proBNP≧125 pg/mL群は、<125 pg/mL群に比べ、高齢、body mass index低値、高脂血症・慢性腎臓病・家庭高血圧の割合が高率、家庭血圧SD高値、および家庭脈拍SD高値であった。 家庭収縮期血圧SD値が2.8 mmHg (=1SD)上昇毎および家庭脈拍SD値が2.0 bpm (=1SD)上昇毎のNT-proBNP≧125 pg/mLを有する調整オッズ比 (95%信頼区間, P値)はそれぞれ1.82 (1.35-2.44, P<0.0001)および1.44 (1.10-1.90, P=0.008)であった。また、家庭収縮期血圧SDおよび家庭脈拍SDがいずれも中央値未満の群 (n=191)を基準とした場合、両者が中央値以上の群 (n=191)のNT-proBNP≧125 pg/mLを有する調整オッズ比は4.80 (1.94–11.90, P=0.0007)と有意に高値であった。 【結論】 近年、降圧治療中患者において、診察室血圧の受診間変動とNT-proBNP高値または左室拡張期不全との関連が示されている。心疾患のない一般地域住民を対象とした本研究の結果も踏まえると、血圧や脈拍の長期変動性は、心筋ストレスの増大など潜在的な臓器障害と関連する可能性がある。

