高血圧治療者の家庭血圧基準値と随時血圧値との比較

Evaluating home blood pressure in treated hypertensives by comparison with referential value of casual screening blood pressure: the Ohasama study.

Blood Pressure Monitoring. 17: 89-95, 2012. >>PubMed


【目的】
従来の家庭血圧の基準値設定に関する検討では、降圧薬服用の有無が考慮されていなかった。本研究では、随時血圧と家庭血圧の分布から、随時血圧の基準値に相当する家庭血圧値を、降圧薬服用の有無で分けた群ごとに横断的に検討した。

【方法】
対象は岩手県花巻市大迫町一般住民で、家庭血圧と随時血圧測定を行なった20才以上の2651名である。これらを、降圧薬服用群 778名、降圧薬非服用群 1873名の2群に分け、それぞれの随時血圧値と家庭血圧値の分布から随時血圧高血圧基準値140/90mmHgに相当する家庭血圧値を個別に算出した。その際、随時血圧値と家庭血圧値それぞれに測定誤差が含まれることを考慮し、reduced major axis(RMA)法を用いて線形回帰式 y=ax+b (ただし xは随時血圧値、yは家庭血圧値)を求めた。

【結果】
対象者の随時血圧平均は、降圧薬服用群 138.8/77.5mmHg、降圧薬非服用群127.2/73.0mmHgであり、朝の家庭血圧平均は、降圧薬服用群134.8/79.4mmHg、降圧薬非服用群119.1/72.1mmHgであった。随時血圧と朝の家庭血圧の相関は降圧薬服用群で弱かった(収縮期r=0.554 vs. 0.293、拡張期r=0.497 vs. 0.381)。RMA法に得られた随時血圧値と朝の家庭血圧値に関する回帰式は、降圧薬服用群で収縮期血圧 y=0.780x+26.550、拡張期血圧 y=0.835x+14.643、降圧薬非服用群で収縮期血圧 y=0.785x+19.290、拡張期血圧 y=0.853x+9.941であった。この回帰式より随時血圧140/90mmHgに相当する朝の家庭血圧値は、降圧薬服用群で 135.8/89.8 mmHg、降圧薬非服用群で 129.2/86.7 mmHgと求められた。なお、同様に算出された晩の家庭血圧は、それぞれ 132.2/86.6 mmHg、127.8/84.8 mmHgであった。

【結論】
降圧薬服用群では非服用群に比べ、随時血圧と家庭血圧の関連が弱く、血圧分布も両群で異なっていた。これより、降圧薬非服用者における家庭血圧基準値や随時血圧の基準値との関係を、そのまま服薬者に当てはめることは適切ではないことが示唆された。真の降圧目標レベルは、最終的に介入試験の成績から結論付けられるべきものであるが、その予備情報として本研究の結果は重要である。今後、降圧薬服用の有無と、随時血圧、家庭血圧それぞれに基づく予後を慎重に比較検討することが求められる。