家庭血圧に基づいた血圧変動は認知機能低下を予測する

Day-to-Day variability in home blood pressure is associated with cognitive decline: the Ohasama study.

Hypertension. 63:1333-1338, 2014. >>PubMed


【目的】
随時血圧と認知機能低下の関連は多数報告されているが、その結果は一貫しておらず、さらに脳心血管疾患との関連が示唆される血圧日間変動の影響は明らかにされていない。そこで、随時血圧よりも、再現性・信頼性・予後予測能が優れる家庭血圧を用い、血圧値および血圧日間変動と認知機能低下との関連を縦断的に検討した。

【方法】
岩手県花巻市大迫町の一般地域住民のうち、認知機能が正常範囲(MMSE: Mini Mental State Examination≧24点)の485名が対象である。認知機能低下を追跡後MMSE<24点とし、家庭血圧値および血圧日間変動を個人内の平均および標準偏差(SD: standard deviation)と定義した。家庭血圧値と認知機能低下の関連を、性、年齢、脳心血管疾患既往、修業年数<10年、ベースラインMMSE<27、追跡期間を調整したロジスティック回帰分析で検討した。血圧日間変動の解析では、加えて家庭収縮期血圧値を調整した。

【結果】
平均年齢±SDは63.3±4.7歳、女性は348名(71.8%)であった。平均7.8年の追跡後、認知機能低下は45例に認められた。認知機能低下群は、非低下群に比べ、ベースライン時の家庭血圧値(収縮期/拡張期: 130.2±13.0/ 79.4±9.4 vs. 123.9±14.6/ 75.7±9.3 mmHg、P≦0.01)および血圧日間変動が有意に高値であったが(9.8±2.5/ 3.0±1.8 vs. 8.6±2.5/ 5.6±1.8 mmHg、P≦0.02)、随時血圧には差が認められなかった(P≧0.1)。家庭収縮期血圧値1SD(=14.6 mmHg)上昇毎の認知機能低下の調整オッズ比は1.48(95%信頼区間: 1.05-2.07)であり、これは降圧薬非服用者で2.80(95%信頼区間: 1.55-5.07)とより明瞭に高値を示した(交互作用P=0.01)。収縮期血圧日間変動1SD(=2.6 mmHg)上昇毎の調整オッズ比は1.51(95%信頼区間: 1.07-2.12)であったが(P=0.02)、降圧薬服用の影響は認められなかった(交互作用P=0.6)。一部で有意差は認められなかったものの、拡張期血圧についても同様の傾向が認められた。

【結論】
家庭血圧測定は、家庭血圧値および血圧日間変動を捉えられるため、認知機能低下を予測するうえで有用なツールとなる可能性が考えられる。