高ナトリウム摂取条件下における脳卒中予測因子としてのアルドステロン/レニン比の検討
Aldosterone-to-renin ratio as a predictor of stroke under conditions of high sodium intake: the Ohasama Study.
American Journal of Hypertension. 25,777-783,2012. 17: 89-95, 2012. >>PubMed
【目的】 アルドステロンは、腎臓でのNa再吸収を促進することで高血圧と関連することが示されている。しかし、アルドステロン過剰分泌を鋭敏に反映する血漿アルドステロン濃度/血漿レニン活性比 (ARR)と脳卒中発症に関する明確な報告はない。そこで、一般地域住民におけるARRと脳卒中発症との関連を、Na摂取量による層別解析で検討した。 【方法】 対象者は、脳卒中の既往がなく、降圧薬を服用していない岩手県花巻市大迫町の35歳以上の一般地域住民883名 (平均年齢59.0歳、女性65.6%)である。Na摂取量は、妥当性が確認されている食物摂取頻度調査法を用いて算出した。ARRと初発脳卒中発症との関連を性別、年齢、body mass index、および随時収縮期血圧で補正したCox比例ハザードモデルを用いて検討した。ARRは、自然対数変換後に解析に用いられた。 【結果】 平均の随時収縮期および拡張期血圧は、それぞれ126.2±12.3 mm Hgおよび79.1±7.7 mm Hgであり、ARRの中央値 (25 to 75パーセンタイル)は5.3 (3.4 to 8.6) ng/dl per ng/ml/hであった。平均10.9年の追跡期間中に脳卒中発症45例 (5.1%)が認められた。各種因子で補正後、全対象者883名におけるlnARRの1標準偏差上昇ごとの脳卒中発症ハザード比は1.13 (P=0.4)と有意ではなかった。しかし、Na摂取量中央値[4058 mg/日 (食塩相当量 10.5 g/日)]で層別化したところ、高Na摂取群におけるlnARRの1標準偏差上昇ごとの脳卒中発症ハザード比は1.49 (P=0.04)と有意に高値であった。一方、低Na摂取群ではlnARRと脳卒中発症の有意な関連は認められなかった (P=0.2)。いずれの解析においても、血漿レニン活性および血漿アルドステロン濃度と脳卒中発症の有意な関連は認められなかった (P≧0.2)。 【結論】 一般地域住民において、高Na摂取下のARR高値が、脳卒中発症のリスクであることが示唆された。ARR高値が食塩感受性高血圧と関連する可能性が示されていることから、高Na摂取下のARR高値と脳卒中発症の関連には食塩感受性の増大が寄与していることが考えられる。

