食事における抗酸化力と慢性腎臓病発症との関連

Association between an Antioxidant-Rich Japanese Diet and Chronic Kidney Disease: The Ohasama Study.

J Atheroscler Thromb. 2024 Apr 1;31(4):461-477.>>PubMed


【目的】
酸化ストレスが慢性腎臓病(CKD)の病因に大きな役割を果たすことが示唆されているものの,食事からの抗酸化力(AOC)の程度とCKD発症との関連を前向きに検討した研究はほとんどない。以前報告した我々の研究から,親水性(H-)と比して親油性(L-)AOC摂取は日本食の主食,副菜の特徴をより反映することが示されている(J Epidemiol.2021)。本研究の目的は、食事に含まれるH-またはL-AOC摂取量とCKD発症リスクとの関連を日本人において検討した。

【方法】
1998年に食品摂取頻度調査票(FFQ)を含む調査に参加した岩手県花巻市大迫町一般住民のうち,CKD[推定糸球体濾過量(eGFR)60ml/min/1.73m2未満または蛋白尿有]を有する者を除いた922名(女性69.2%、平均年齢59.5歳)を対象とした。FFQを用いて得られた食品摂取量から、各対象者の食事におけるH-/L-AOC値を“日本食AOCデータベース”を用いて推定、算出した。主要アウトカムを2002年から2010年にかけての年次健診で診断された新規発症CKDとした。H-およびL-AOC値とCKD発症の関連を,主要交絡因子で調整したCox回帰モデルを用いて検討した。
【結果】
平均9.7年の追跡期間中,137名がCKDを発症した(女性92名)。L-AOC高値群(第4四分位)の女性は,低値群(第1四分位)と比べCKDリスクが有意に低かった(ハザード比、95%信頼区間:0.49、0.27-0.90)。男性ではこの関連は認められなかった。H-AOC値については男女ともに一定の関連は観察されなかった。

【結論】
本研究は、これまで諸外国では十分に測定されていなかった日本人の食生活の主要構成要素である茶、米,大豆製品、魚介類を含んだ日本食AOCデータベースを用いてAOC値とCKD発症の関連を検討した初めての研究である。L-AOC値は H-AOC値の約 1/10 と少ないものの、親油性の体内での機能及び代謝経路が親水性とは異なることが,L-AOC高値のみでCKD発症予防効果が認められた要因かもしれない。