親の長寿と子孫の家庭血圧との関係
Parental longevity and offspring’s home blood pressure: the Ohasama study.
Journal of Hypertension 2010 ;28:272-7. >>PubMed
【目的】 長寿は家族内に集積し、遺伝要因や環境要因が原因であることが知られている。高血圧もまた遺伝要因、環境要因が原因である。先行研究では両親の長寿と子の随時血圧の関連が報告されているが、家庭血圧との関連をみた報告はない。 【方法】 40歳以上で1992年に健康診断を受診した大迫住民3,076人のうち、家庭血圧、随時血圧を測定した1,961人を対象とした。母親の長寿は、母親の年齢で均等3分割を行い、死亡年齢69歳未満を早世群、69歳生存かつ死亡年齢84歳未満を中間群、84歳生存を長寿群とした。同様に父親の長寿分類は死亡年齢66歳未満を早世群、66歳生存かつ死亡年齢80歳未満を中間群、80歳生存を長寿群とした。母親84歳未満または父親80歳未満で生存している者は将来何歳まで生存するかが不明のため解析から除外した。高血圧は家庭血圧では135/85mmHg以上または降圧薬服用、随時血圧では140/90mmHgまたは降圧薬服用と定義した。 【結果】 父親、母親の長寿は子の低い家庭血圧と関連していたが、随時血圧では関連が認められなかった。交絡因子で補正しても長寿群において子の血圧は低値であった。また降圧薬非服用者において解析を行っても同様の結果が得られた。両親とも早世群である子の家庭血圧は、両親とも長寿群の子くらべ有意に高値であった(p=0.0001/0.009)。随時血圧では有意差は認められなかった(p=0.05/0.2)。両親の長寿と両親の高血圧歴を同一モデルに入れて解析をおこなうと、母親の長寿のみが子の収縮期血圧低値と関連していた(長寿p=0.04、高血圧歴p=0.1)。父親では長寿と子の収縮期血圧低値、高血圧歴と子の収縮期血圧高値がそれぞれ独立して関連していた(長寿p=0.0004、高血圧歴p=0.01)。 【結論】 両親の長寿は子の成人後の家庭血圧と有意に関連していた。早世群は長寿群より高血圧有病率が高く、家庭血圧が高値であった。また、両親の長寿は両親の高血圧歴よりも子の血圧と密接に関連していた。自己申告による高血圧家族歴は必ずしも正確ではないが、両親の死亡時年齢は思い出しやすく、高血圧家族歴よりも正確な予測因子となることから、両親が早世であるかどうかは、高血圧のスクリーニングにおける重要な因子の一つと考えられる。

