血漿レニン活性とアルドステロン-レニン比は慢性腎臓病の発症と関連する

Plasma renin activity and the aldosterone-to-renin ratio are associated with the development of chronic kidney disease: the Ohasama Study.

Journal of Hypertension. 30,1632-1638,2012. >>PubMed


【目的】
血漿アルドステロン濃度(PAC)と慢性腎臓病 (CKD)の関連が示唆されている一方、アルドステロン過剰分泌をより反映するとされる血漿アルドステロン濃度/血漿レニン活性比 (ARR)とCKDとの関連についての報告は存在しない。本研究の目的は、血漿レニン活性(PRA)、PAC、およびARRとCKD発症との関連を縦断的に検討することである。

【方法】
対象者は、CKDを有さず、降圧薬服用のない岩手県花巻市大迫町の35歳以上の一般地域住民689名 (平均年齢 58.2歳、女性68.5%)である。CKDを、日本人のGFR推算式による推算糸球体ろ過量(eGFR)が60 mL/min/1.73m2未満または随時蛋白尿陽性と定義した。ARRとCKD発症との関連を、ベースライン時の年齢、性別、body mass index、喫煙歴、飲酒歴、高脂血症、糖尿病、脳心血管疾患既往、随時収縮期血圧、血清Na、血清K、食塩摂取量、およびeGFRで補正したCox比例ハザードモデルを用いて検討した。。

【結果】
ベースライン時の平均eGFRは87.3±17.5 mL/min/1.73m2、随時収縮期 / 拡張期血圧は127.9±13.2 / 71.9±8.7 mm Hgであった。PRAの中央値 (25 to 75パーセンタイル)は1.1 (0.5 to 1.2) ng/ml/h、PACは65.0 (50.0 to 81.0) pg/ml、およびARRは56.3 (35.5 to 97.5) pg/ml per ng/ml/hであった。追跡期間中の健診参加回数は平均2.8回であり、平均9.7年の追跡期間中にCKD発症118例 (17.1%)が認められた。CKD発症の調整ハザード比 (自然対数変換後、1標準偏差上昇ごと)は、PRAで0.76 (P=0.007)、ARRで1.28 (P=0.01)といずれも有意であったが、PACでは0.92 (P=0.4)と有意差は認められなかった。CKD発症者は非発症者に比し、ベースラインのPRAが低値 (0.97 vs. 1.14 ng/ml/h、P=0.03)、ARRが高値 (66.6 vs. 56.8 pg/ml per ng/ml/h、P=0.02)であったが、PACについては差が認められなかった (64.4 vs. 64.6 pg/ml、P=0.9)。

【結論】
日本の一般地域住民において、PRA低値およびARR高値はCKD発症の独立した予測因子であった。PRAが低値であるにも関わらずPACが充分に低下しない比較的アルドステロン高値と呼ばれる病態が、腎障害をもたらす要因であることが示唆された。