自宅での血圧と心拍数の日内変動が予後の新規予測因子となる
Day-by-day variability of blood pressure and heart rate at home as a novel predictor of prognosis: the Ohasama study.
Hypertension. 2008;52:1045-1050. >>PubMed
【目的】 家庭血圧は長期間の一定の条件下で連日測定を行うことにより、血圧および同時に測定される心拍数に関して日間変動性の評価が可能である。これまで24時間自由行動下血圧測定による血圧日内変動(dipper, non-dipper)や15~30分毎の血圧短期変動は脳心血管病の独立した予後予測能をもつことが報告されている。しかし、日間変動性の予後予測能については、これまで報告は皆無であった。 【方法】 岩手県花巻市大迫町の35歳以上の一般地域住民2455人(平均年齢59.4歳、女性60.4%)を対象とした。変動性の指標として、毎朝の家庭血圧・家庭心拍の個人内の標準偏差 (SD)を日間変動と定義した。 【結果】 家庭血圧の測定回数(平均値±SD)は24.5±5.3回、血圧レベルは124.6±15.2/74.7±9.9 mmHg、血圧変動は8.6±3.2/6.4±2.3 mmHgであった。対象者を平均11.9年間(29,224人年)追跡したところ、462人の死亡を確認し、その内168人が脳心血管病死亡であった(脳卒中83人、心疾患死亡85人)。非脳心血管病死亡は294人であった。性別、年齢、肥満、喫煙、飲酒、脳心血管病既往、糖尿病、高脂血症、降圧療法の有無、血圧レベル、および心拍レベルを補正したCox比例ハザードモデルでは、血圧変動および心拍変動は脳心血管死亡と有意に関連しており,そのリスクは変動が1 SD増すごとに収縮期血圧変動(3.2mmHg)で1.27倍,心拍変動(2.3回/分)で1.24倍に上昇した。脳心血管病死亡の個別の死因に関しては、血圧変動は脳卒中死,心拍変動は心臓死の独立した予測因子であった。 【結論】 家庭血圧・心拍の日間変動は、各種危険因子とは独立して予後と関連していることが明らかとなった。家庭血圧・心拍の日間変動は、予後に関する報告がほとんど無く、未知の分野である。その規定因子の探索が予後改善につながる可能性があり、今後、この分野に関して更に研究が発展することが期待される。

