無症候性脳血管疾患併存を考慮した分娩回数と認知機能障害との関連: 大迫研究

Association Between the Number of Deliveries and Cognitive Impairment Considering the Presence of Subclinical Cerebrovascular Diseases: The Ohasama Study.

Tohoku J Exp Med. 2025 May 28;266(1):69-79.>>PubMed


【目的】
出産回数と認知機能障害との関連についてはこれまでにも検討されてきたが、無症候性脳血管病変や頸動脈動脈硬化といった無症候性脳血管疾患(SCD:silent cerebrovascular diseases)がこの関連にどのように影響するのかは明らかになっていない。そこで、本横断研究では、SCDが出産回数と認知機能障害との関連を媒介しているかどうかを検討することを目的とした。

【方法】
平均年齢73歳の岩手県花巻市大迫町一般住民女性627名を対象とした。出産回数は1998年の調査で収集され、四分位に基づき、4つの群(0–1回、2回、3回、4回以上)に分類した(2回を基準群とした)。認知機能はMini-mental state examination(MMSE)によって評価し、脳MRI(ラクナ梗塞の有無、脳白質病変の有無)および超音波検査(頸動脈平均内膜中膜厚、頸動脈プラークの有無)によってSCDを評価した。これらの変数およびその他の共変量は参加者ごとに最新データ(1992〜2018年の間のもの)を用いた。MMSEスコアは3つの順序カテゴリに分類した:28点以上(正常)、24〜27点(軽度認知機能障害[MCI])、23点以下(重度認知機能障害)。
順序ロジスティック回帰モデルを用いて、認知機能障害に対する出産回数のオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)が推定した。

【結果】
認知機能障害のORは、出産回数が最も少ない群(0–1回)で2.13(95%CI:1.21–3.76)、最も多い群(4回以上)で1.45(0.95–2.23)であった。SCDで調整した後もこれらの関連はほぼ同様に維持された。出生年によるサブグループ解析では出生年がより新しい群では出産回数と認知機能障害との関連が弱まった。

【結論】
本研究では、SCDとは独立して、出産回数と認知機能障害との間にU字型の関連が存在すること、そしてコホート効果(世代差)がその関連を交絡していることが示された。