日本人男性の血圧日内変動に及ぼすアルコール摂取の影響
Influence of alcohol intake on circadian blood pressure variation in Japanese men: the Ohasama study.
American Journal of Hypertension 2009; 22: 1171-1176 >>PubMed
【目的】 飲酒は高血圧の危険因子である。また、多量飲酒は脳卒中、特に脳出血を引き起こすことが知られている。一方で、我々の研究グループにより、24時間自由行動下血圧(ABP)で測定された早朝の血圧高値が、脳出血リスクと関連することが示されている。これより、飲酒が早朝血圧値上昇と関連している可能性が考えられる。そこで、本研究では、日本の一般地域住民を対象に、飲酒習慣が血圧日内変動に及ぼす影響について検討を行った。 【方法】 岩手県花巻市大迫町において施行された「生活習慣と健康に関するアンケート調査」に回答し、ABPを測定した男性195名(平均年齢66.9±5.8歳)を対象者とした。対象者を、非飲酒者、少量飲酒者(1日1合未満)、多量飲酒者(1日1合以上)の3群に分類した。血圧日内変動の指標には血圧移動平均などを用いた。飲酒習慣と血圧日内変動との関連を、交絡要因(年齢、body mass index、喫煙、脳卒中既往、心疾患既往、高脂血症既往、糖尿病既往、降圧治療の有無、食塩摂取量)で補正した多変量解析(共分散分析)にて検討した。血圧移動平均に関する検討では、Bonferroniの補正を行い、P値<0.002を有意水準として用いた。また、血圧推移の分析には、対象者をランダム要因、各種危険因子を固定要因として、線形混合モデルも使用した。 【結果】 多量飲酒者(66名, 34%)・少量飲酒者(86名, 44%)は、非飲酒者(43名, 22%)に比較して、夜間の血圧下降が急速であり、昼間血圧は持続的に高値であった。24時間の血圧推移に3群間で有意な差が認められた(P < 0.0001)。特に、起床2時間後において、多量飲酒者の血圧値は非飲酒者に比較して、Bonferroni補正後も有意に高値であった。 【結論】 多量飲酒者は、非飲酒者に比較し、起床2時間後の血圧値が有意に高値であり、その後の昼間血圧も持続的に高値であった。本研究により、飲酒習慣は早朝血圧値の上昇に影響している可能性が示唆された。

