日本人女性における(プロ)レニン受容体遺伝子多型とラクナ梗塞および左心室肥大との関連

Association of (Pro)renin receptor gene polymorphisms with lacunar infarction and left ventricular hypertrophy in Japanese women: the Ohasama study.

Hypertension Research. 34,530-535,2011. >>PubMed


【目的】
レニン-アンジオテンシン系(RAS)は生体における主要な血圧調節機構である。RASの異常は血圧、電解質バランスの異常などに直接的に影響を及ぼすことや、局所組織における臓器障害の進行に関与している。最近RASの新しい構成因子として(プロ)レニン受容体[(P)RR]が同定され、血圧や臓器障害との関連が注目されているしかし、ヒトにおいてPRR遺伝子多型と臓器障害との関連に関する報告は未だない。そこで、(P)RR遺伝子多型と高血圧性臓器障害である左室肥大、無症候性脳血管障害(ラクナ梗塞及び脳白質病変)との関連を検討した。

【方法】
同意が得られた岩手県花巻市大迫町の一般住民の中で、症候性脳血管疾患を有さず、心電図・頭部MRI測定を行った779名を対象とした。左室肥大は、心電図上、Sokolow基準とCornell基準のいずれかまたは両者を満たす場合と定義とした。ラクナ梗塞及び脳白質病変は、その有無により対象者を2群に分けた。遺伝子多型は、3つの一塩基多型(rs2968915A>G、rs5918007C>T、rs6609080A>G)を(P)RR遺伝子上の連鎖不平衡領域からそれぞれ選出し遺伝子型を決定した。

【結果】
女性において、rs6609080A>Gは、左室肥大を有する割合(AA群10.1%、AG群19.4%、GG群31.8%、P=0.003)及びラクナ梗塞を有する割合(AA群22.2%、AG群24.2%、GG群50.0%、P=0.01)と有意に関連した。また、多重ロジスティック回帰分析において、AA群と比較して、AG群では左室肥大を有するオッズ比が2.1(95%CI: 1.2-3.6、P=0.01)、ラクナ梗塞を有するオッズ比が1.0(95%CI: 0.6-1.6、P=1.0)であり、GG群では左室肥大を有するオッズ比が2.9(95%CI: 1.1-7.9、P=0.04)、ラクナ梗塞を有するオッズ比が3.3(95%CI: 1.4-7.9、P=0.008)であった。一方、男性、rs2968915A>G、rs5918007C>T、脳白質病変については有意な関連が認められなかった。

【結論】
日本人女性において、(P)RRが高血圧性臓器障害の発症・進展に関与している可能性が示唆された。また、女性のみで有意な関連が認められたことから、この遺伝子多型は女性特異的に高血圧性臓器障害に関与している可能性が示唆された。