日本人一般集団における自由行動下心拍数の予測能

Predictive value of ambulatory heart rate in the Japanese general population: the Ohasama Study.

Journal of Hypertension. 2008;26:1571-1576.  >>PubMed


【目的】
健診等で測定される安静時心拍数は総死亡、循環器疾患死亡と強く関連している。また健診等で測定される血圧や心拍数には警戒反応(いわゆる白衣現象)が認められ、血圧においては、これらの警戒反応を除外可能な診察室外血圧(24時間血圧や家庭血圧)が健診等で測定される随時血圧よりも予後予測能に優れることが知られている。それゆえ24時間測定された心拍数が健診時心拍よりも予後をより良く予測することが期待されていたが、このような検討は少なかった。

【方法】
岩手県大迫町の一般住民のうち、不整脈を含めた循環器疾患の既往のない1444名を分析した。コックス比例ハザードモデルを用いて24時間血圧測定機器により測定された心拍数及びそのコンポーネントと総死亡、循環器疾患死亡、非循環器疾患死亡との関連を分析した。心拍のコンポーネントとしては日中心拍、夜間心拍、日中夜間心拍較差{(日中心拍-夜間心拍)÷日中心拍}を用いた。調整項目としては性、年齢、降圧薬内服、喫煙歴、糖尿病、高脂血症、収縮期血圧を使用した。また心拍数が降圧薬によって影響を受けるため降圧薬内服者を除外した分析(1049名)も実施した。

【結果】
12年間の追跡の結果、101例の循環器疾患死亡、195例の非循環器疾患死亡、そして296例の総死亡を観察した。日中心拍、夜間心拍ともに循環器疾患死亡を予測しなかった(10bpm上昇あたりの調整ハザード比、日中心拍:0.90、夜間心拍:1.07)。一方、どちらの心拍も非循環器疾患死亡を有意に予測していた(10bpm上昇あたりの調整ハザード比、日中心拍:1.28、夜間心拍:1.48)。これらの関連は降圧薬を除外しても同様であった。日中夜間心拍較差は総死亡と有意に関連しており、較差10%上昇あたりの総死亡に対する調整ハザード比は0.85であった(夜間心拍数に対し日中心拍数が高い人ほど死亡率が低い)。また、日中と夜間の較差と夜間の心拍数そのものどちらが重要なのかを検討するために、夜間心拍と日中夜間心拍較差を同時にモデルに投入した場合、夜間心拍数のみが総死亡と有意に関連していた。

【結論】
大迫研究の検討により、24時間血圧測定機器において測定される心拍コンポーネントのうち、夜間心拍が総死亡を予測する上で最も重要であることが示唆された。