縦断的コホートデータに基づく家庭血圧、家庭脈拍、および家庭血圧と家庭脈拍の日間変動の加齢に基づく長期推移
Age-Related Trends in Home Blood Pressure, Home Pulse Rate, and Day-to-Day Blood Pressure and Pulse Rate Variability Based on Longitudinal Cohort Data: The Ohasama Study
J Am Heart Assoc. 2019;8:e012121 >>PubMed
【背景】 加齢に伴う血圧の変化に関するデータは、将来の血圧を予測する上で有用な情報である。しかし、加齢に伴う診察室外血圧および血圧日間変動の推移に関する情報は限られている。そこで本研究では、大迫コホート研究の縦断調査で捉えられた家庭血圧データを基に、家庭血圧・脈拍値および家庭血圧・脈拍日間変動の加齢に伴う推移を明らかにすることを目的とした。 【方法】 対象者は、岩手県花巻市大迫町在住で、1988~1995年の調査とその後の調査に参加し、計2回以上の朝の家庭血圧データが得られた35歳以上の1,665名(平均56.2歳、男性36.0%)である。家庭血圧・脈拍値および日間変動は、それぞれ、1観測点あたり約4週間測定の平均値および変動係数(個人内測定値標準偏差/平均値×100, %)と定義した。は、説明変数として性、5歳毎の年齢カテゴリ、body mass index、喫煙、飲酒、糖尿病、脂質異常症、脳心血管疾患既往、降圧薬治療、および性×年齢カテゴリ、反復効果として年齢カテゴリを設定した線形混合モデルによる反復測定解析を行った。 【結果】 平均追跡期間15.9年間で、5,438観測点の家庭血圧値が得られた。家庭収縮期血圧は40歳未満の男性123.2 mmHg:女性115.4 mmHgから85歳の男性143.2 mmHg:女性145.9 mmHgまで一貫して上昇していた。家庭拡張期血圧は、男性では55–59歳の83.2mmHg、女性では65–69歳の78.4 mmHgをピークとした逆U字型の推移を示した。収縮期血圧日間変動は40歳から80歳以上まで一貫して上昇していたが、拡張期血圧日間変動は65–69歳を底とするU字型の推移を示した(図)。家庭脈拍は、35–39歳の男性72.0 bpm:女性72.9 bpmから75–79歳の男性63.9 bpm:女性66.5 bpmまで概ね一貫して低下していた。脈拍日間変動は、男性では40歳未満の10.3%から80歳以上の7.8%まで一貫して低下、女性では40歳以下の8.8%から65-69歳の7.7%まで緩やかに低下した後80歳にかけて約0.3%上昇していた。
【結論】 本研究で認められた加齢と血圧の関連は、これまでの診察室血圧に基づく報告とほぼ一致していた。拡張期血圧のピークが男性に比べ女性で10歳ほど遅く、これは女性で動脈硬化が進展しにくいことを反映している可能性がある。また、血圧日間変動の加齢に伴う推移が収縮期血圧と拡張期血圧と異なることから、収縮期と拡張期血圧の日間変動には異なるメカニズムが関わっている可能性が考えられる。


