日々の血圧変動(血圧日間変動)の基準値案
Proposal of reference value for day-to-day blood pressure variability based on two outcomes: the Ohasama study.
J Hypertens. 2024 Oct 1;42(10):1769-1776.>>PubMed
【目的】
家庭血圧測定によって捉えられる血圧日間変動(HSBP-CV)は、脳心血管疾患および認知機能低下と関連があることが報告されている。本研究では、これまで明確なエビデンスがなかった血圧日間変動の基準値を提案するため、家庭収縮期血圧(HSBP)135 mmHgと同等の疾患リスクを示す日間変動値を明らかにすることを目的とした。。
【方法】
ベースライン時に認知機能障害と脳血管障害のない岩手県花巻市大迫町の住民1212名(平均年齢64.7歳、男性33.6%)を対象に脳心血管死亡リスクを評価した。加えて、検診を2回以上受診し、追跡後の認知機能データが得られた678名(平均年齢62.7歳、男性31.1%)を対象として、認知機能低下リスク(ミニメンタル検査 [MMSE] スコア<24点)を評価した。血圧日間変動の指標には、朝1回目に測定された4週間の家庭収縮期血圧(HSBP)を基にした個人内変動係数(HSBP-CV: 個人内標準偏差/ 個人内平均値×100, %)を使用し、Cox回帰モデルにより解析を行った。
【結果】
平均追跡期間9.6年で85例の認知機能低下と、13.9年の間に114例の脳心血管疾患死亡が確認された。HSBP-CVの中央値(四分位範囲)は6.9%(5.7–8.1%)であった。各種因子で調整後、HSBPおよびHSBP-CVは、認知機能低下および脳心血管疾患死亡リスクのいずれとも有意に関連していた。HSBP 135 mmHgが示す10年リスクは、脳心血管疾患死亡で1.67%および認知機能低下で8.83%と推定され、これらの絶対リスク値に相当するHSBP-CVはそれぞれ8.53%および8.44%であった。
【結論】
HSBP 135 mmHgにおける認知機能低下および脳心血管疾患死亡リスクに対応するHSBP-CV 8.5%が、血圧日間変動の基準値として有用であることが示された。本研究の結果は、臨床におけるリスク層別化において重要な指標となる可能性がある。

