家庭血圧に基づく仮面高血圧者および白衣高血圧者における無症状脳血管病変

Detection of silent cerebrovascular lesions in individuals with “masked” and”white-coat” hypertension by home blood pressure measurement: The Ohasama Study.

Journal of Hypertension. 2009 ;27:1049-55. >>PubMed


【目的】
近年、家庭血圧(HBP)測定の有用性が明らかにされ、普段は正常血圧でありながら受診時のみ高血圧を示す白衣高血圧(WCHT)や、逆に受診時には正常血圧でありながらHBPが高値である仮面高血圧(MHT)の存在が注目されている。ラクナ梗塞や大脳白質病変のような無症候性脳血管障害は、高齢者の脳MRI(Magnetic Resonance Imaging)で最も頻度の高い所見の一つである。そこで本研究では、日本の一般地域住民におけるMHT・WCHT群の無症候性脳血管障害を、正常血圧(SNBP)・持続性高血圧(SHT)群と比較検討した。

【方法】
岩手県大迫町(現花巻市)の一般地域住民1,060名(平均年齢 66歳、男性 33%)を対象とした。検診時血圧(CBP)・HBPの値に基づき、対象者を以下の4群に分類した。
1)SNBP群(HBP<135/85mmHg,CBP<140/90mmHg)、2)WCHT群(HBP<135/85mmHg, CBP≧140/90mmHg)、3)MHT群(HBP≧135/85mmHg, CBP<140/90mmHg)、4)SHT群(HBP≧135/85mmHg, CBP≧140/90mmHg)
無症候性脳血管障害は、MRI検査により、ラクナ梗塞(T1強調画像で低信号域、かつT2強調画像で高信号域を示す直径3 mm以上15 mm以下の病変)および白質病変(T2 強調画像でのみ認められる高信号域)を評価し、無症候性脳血管障害の定義を、ラクナ梗塞ありかつまたは白質病変ありとした。

【結果】
無症候性脳血管障害の有病率は、SNBP群・WCHT群と比べ、MHT群・SHT群において有意に高く、多変量解析においても同様の結果であった。また、白質病変、ラクナ梗塞に分類した場合も同様の傾向が認められた。さらに降圧薬服用の有無による層別解析においても、降圧薬非服用者・服用者で同様の傾向が認められた(P for interaction > 0.2)。

【結論】
本研究により、MHTの無症候性脳血管障害のリスクがSNBPと比較して高度であり、SHTと同等であることが明らかとなった。一方、WCHTとSNBPとの無症候性脳血管障害のリスクには差が認められなかった。CBP単独では、MHT、およびWCHTを検出することはできず、これらはHBP測定により検出が可能となる。本研究によってHBPの優れた合併症予測能が無症候性脳血管障害においても初めて裏付けられた。