家庭血圧測定と自由行動下血圧測定に基づく夜間血圧の比較

Comparison of nocturnal blood pressure based on home versus ambulatory blood pressure measuremandent: the Ohasama Study.

Clinical Experimental Hypertension. 2020;42:685-691.>>PubMed


【目的】
血圧日内変動の指標であるdipper/non-dipperはこれまで24時間自由行動下血圧(ABP)測定を用いて評価されてきた。しかしながら、ABP測定によるdipper/non-dipperには覚醒時間帯の精神的・身体的活動に伴う血圧変化による再現性不良が指摘されている。近年、家庭血圧(HBP)による夜間血圧の測定が可能になり、睡眠の質に伴う血圧変化が明らかになった。本研究ではABPおよびHBPで評価されたdipper/non-dipper、夜間血圧下降度、夜間血圧の差異を検討した。

【方法】
対象はABPおよび早朝・就寝中・就寝前HBPを測定した岩手県大迫町の一般住民697名中、就寝中HBPを非覚醒時(sleeping state)および覚醒時(awaking state)に各1回以上測定した55名とした。就寝中HBP測定条件はOmron HEM 747 IC-N(Omron Life Science Co. Ltd, Kyoto, Japan)を就寝前に上腕に装着し、深夜2時に自動測定された測定値が内臓ICメモリーに記憶された。深夜HBP測定時における覚醒の有無を翌朝自己評価した。夜間血圧下降度は、「夜間血圧下降度 (%)=(覚醒時血圧-就寝中血圧)×100/覚醒時血圧」により算出し、夜間血圧下降度により対象者をnon-dipper(10%未満)、dipper(10%以上)に分類した。覚醒時ABPは起床から就寝までのABP平均、就寝中ABPは就寝中のABP平均、早朝および就寝前HBPに対応するABPとして起床から起床後2時間までのABP平均値、就寝2時間前から就寝までのABP平均を算出した。
両測定機器の血圧較差を求めるため、仙台市内の市中病院の高血圧患者73人(年齢65.4歳、男性46.4%)を対象として両腕への同時測定を交互に行い計4回の平均値を算出した。

【結果】
HBPとABP間の血圧較差はABPに比しHBPが収縮期で3.9 mmHg、拡張期で3.0 mmHg有意に高値を示したことから、以後の対象者55名(平均年齢65.1歳、女性78.2%)におけるHBPとABPとの比較には血圧較差で補正した。覚醒時間帯HBPは125.4±12.4/73.2±7.6 mmHgは覚醒時間帯ABP129.7±12.7/77.1±8.4 mmHgよりも有意に低値であったのに対し、早朝ABPと就寝前ABPとの平均値は125.6±14.2/74.7±9.1 mmHgと覚醒時間帯HBPとの有意差はなかった。一方、就寝中血圧は就寝中ABP(111.2±12.9/64.2±7.6 mmHg)が最も高値を示し、次いで午前2時ABP(109.4 ± 14.4/63.4 ±8.4 mmHg)、awaking state HBP(111.0 ± 13.2/65.2 ± 8.2 mmHg)、sleeping state HBP(108.6 ± 12.5/63.5 ± 8.2 mmHg)であった。補正後の夜間血圧下降度はABPによる評価14.0±8.8/16.4±8.5 mmHg、sleeping state HBPによる評価10.4±8.4/9.1±11.1 mmHg、awaking stateによるHBP評価8.2±10.0/5.9± 12.9であり、non-dipperの割合は32.7/20.0%、sleeping state 43.6/43.6%、awaking state 54.6/60.0%であった。

【結論】
血圧日内変動の評価は、ABPによる場合とHBPによる場合とで異なっていた。両者の差異の原因として、測定機器の系統的な違いと自由行動下における測定(ABP)あるいは一定条件下での測定という、血圧測定の意義の違いが一部関わっていることが示唆された。