家庭血圧値および他の循環器疾患危険因子の相互作用に関する研究

Use of 2003 European Society of Hypertension-European Society of Cardiology guidelines for predicting stroke using self-measured blood pressure at home: the Ohasama study

European Heart Journal 2005;26:2026-31. >>PubMed


【目的】
本態性高血圧は脳心血管疾患の主要な危険因子であり、高血圧の発症予防・合併症進展の予防は極めて重要な課題である。一方、各国の高血圧管理ガイドラインが近年相次いで改定され、血圧値および他の危険因子の組み合わせによる重症度分類が提唱されているが、本邦における最適な高血圧診療の基礎情報となる本邦独自のエビデンス集積は質・量ともに不十分である。本研究の目的は、家庭における自己測定血圧(家庭血圧)を用いて、米国のJNC-7ガイドラインならびに 欧州の2003 ESH-ESCガイドラインで提唱された血圧および他の危険因子に基づいた高血圧重症度の分類法の、本邦一般住民における妥当性を検討することである。

【方法】
40才以上の大迫町民1702例の高血圧重症度を、JNC-7および2003 ESH-ESCのそれぞれに準拠して分類した。JNC-7分類では、血圧値でGroup 1 (正常血圧)、Group 2 (高血圧前症)、Group 3 (高血圧ステージ1)、Group 4 (高血圧ステージ2)の4グループに、更に危険因子の程度の有無で Group 2から4を a,b各2群に、計7群に分類した。一方、2003 ESH-ESC分類では、対象を血圧値で 6段階にまず分類し、更に2003 ESH-ESCガイドラインで提唱されている他の合併症の有無・個数に応じた計 5群 (正常リスク群、低リスク群、中等度リスク群、高リスク群、極めて高リスク群)のリスク分類に当てはめた。

【結果】
平均 10.6年の追跡の結果、153例の初発脳卒中が観察され、両分類のいずれも本邦の一般集団に適切であることが判明したが、簡略化されたリスク分類を採用する JNC-7分類よりも、包括的な2003 ESH-ESCリスク分類が、また検診時随時血圧を用いた場合よりも一層有効であった。

【結論】
本邦の一般地域住民の脳卒中発症予測には、JNC-7分類、2003 ESH-ESC分類のいずれも良好に適合するが、JNC-7のような単純化された分類法よりも、2003 ESH-ESCに代表される包括的なリスク分類法が、本邦には一層適切であると考えられた。一方、いずれの分類法でも随時血圧より家庭血圧に基づいた場合に予後予測能が一段と高まり、家庭血圧の有用性が改めて示された。