家庭血圧に基づく治療中高血圧の脳卒中リスク
Stroke risk in treated hypertension based on home blood pressure: the Ohasama Study.
American Journal of Hypertension. 2010;23:508-14. >>PubMed
【目的】 多くの観察研究や介入研究で降圧治療の脳卒中予防効果が証明されている一方、観察研究では降圧薬服用者の随時血圧レベルは脳卒中発症を予測しないことも報告されている。家庭血圧の優れた予後予測能は多くの研究により明らかとなっているが、降圧薬服用者において家庭血圧レベルと脳卒中発症との関係を検討した報告はない。そこで本研究では、降圧薬服用の有無で層別化し、随時血圧と家庭血圧それぞれの血圧レベルに基づく初回脳卒中発症リスクを比較した。 【方法】 家庭血圧測定と随時血圧測定を行った、岩手県花巻市大迫町の35才以上の住民2,390名を対象とした。回脳卒中発症を追跡し、降圧薬服用者・非服用者において、家庭血圧と随時血圧それぞれの予後予測能をCox比例ハザードモデルを用いて算出した。 【結果】 対象者の平均観察期間は11.9年、初発脳卒中は242例であった〔降圧薬非服用者:1,690例中116 例(6.9%)、降圧薬服用者:700例中126例(18.0%)〕。血圧レベルを随時血圧と家庭血圧それぞれ6段階に分類すると、降圧薬非服用者では、血圧レベルの上昇に伴い脳卒中発症リスクは直線的に増加した(家庭血圧:トレンドp =0.0006、随時血圧:トレンドp =0.003)。一方、降圧薬服用者において、家庭血圧では、血圧レベルの上昇により脳卒中発症リスクは直線的に増加した(トレンドp =0.004)が、随時血圧では、有意な傾向を認めなかった(トレンドp =0.3)。なお、血圧分類と降圧薬服用の有無の間に有意な交互作用は認めなかった。 【結論】 降圧薬服用の有無にかかわらず、家庭血圧は高い脳卒中発症予測能を有していたが、随時血圧は降圧薬服用者において脳卒中発症リスクとの有意な関連を認めなかった。これより、特に降圧薬服用者において、家庭血圧は脳卒中発症リスクを評価するのに優れた方法であることが示された。また、脳卒中発症に関しては、降圧薬服用者の家庭血圧降圧目標は少なくとも124/79mmHg以下が適当であることが示唆された。

