夜間血圧、早朝血圧と脳心血管病死亡との関連に関する検討

Prognostic significance of night-time, early morning, and daytime blood pressures on the risk of cerebro- and cardiovascular mortality: the Ohasama Study.

Journal of Hypertension, 2006; 24:1841-1848. >>PubMed


【目的】
24時間自由行動下血圧測定により1日の各時間帯の血圧値の評価が可能となり、注目されている。本研究では、24時間にわたる2時間の収縮期血圧の平均値(2h-SBP)と脳心血管疾患死亡リスクとの関連を検討した。

【方法】
大迫コホートでは40歳以上の住民1542名が30分間隔での24時間自由行動下血圧測定を行っている。連続した2時間における30分毎、計4回の測定値の平均を‘2h-SBP’と定義した。1時間毎に計24回の2h-SBPを算出し (移動平均)、1日の中での推移を観察した。死亡リスクとの分析は、年齢・性別・喫煙歴・ベースライン時での降圧治療の有無・脳心血管疾患・糖尿病・高脂血症の有無で補正した、Cox比例ハザードモデルを用いて行った。

【結果】
2h-SBPの移動平均値が1つ以上欠損していた182名を除いた1360名を本解析の対象とした。平均追跡期間は10.6年間であり、この間に232名の死亡が観察された。
脳心血管死亡リスクは、ほとんどの時間帯における血圧上昇と関連していたが、昼間の2h-SBPとの関連は弱かった。出血性脳卒中による死亡リスクは早朝と昼間における2h-SBPと有意に関連していたが、夜間の2h-SBPとの関連は弱かった。脳梗塞、虚血性・非虚血性心疾患による死亡リスクは、いずれも夜間の2h-SBPと有意に関連していたが、昼間の2h-SBPとは関連していなかった。これらを合わせた死亡リスクは、夜間や早朝の2h-SBPと有意に関連したが昼間の2h-SBPとは弱い関連を示すのみであった。

【結論】
測定回数が増加するに従い、血圧値の予後予測能は増加することが知られている。従って、測定回数の違いが各時間帯の血圧値の予後予測能の評価に影響を与える可能性がある。本研究は、1日の中の異なる時間帯の血圧値の測定回数を同一として比較を行った最初の研究である。今回の結果により、早朝及び昼間の高い血圧は出血性脳卒中による死亡と関連し、夜間の高い血圧は脳梗塞及び心疾患による死亡と関連することが明らかとなった。従って、24時間に亘る厳密な血圧コントロールにより、脳心血管疾患全体による死亡リスクの減少が期待されると考えられる。