夕方の家庭血圧測定を繰り返すと脳卒中の予後意義が改善する:大迫研究12年間のフォローアップ

Repeated evening home blood pressure measurement improves prognostic significance for stroke: a 12-year follow-up of the Ohasama study.

Blood Pressure Monitoring, 2009;14:93-8.  >>PubMed


【目的】
家庭血圧は外来随時血圧に比べ、臓器障害や予後と高い関連性を持つことが知られている。また、朝の家庭血圧は、1回のみの測定値でも随時血圧値より脳卒中発症予測能が高く、測定日数が増加するにつれて予測能が高くなることが明らかとなっている。しかし、晩・就寝前に測定した家庭血圧の測定日数と予後予測能との関連性は未だ明らかでない。今回我々は、地域コホート研究である大迫研究に基づいて、晩の家庭血圧の測定日数と脳卒中発症予測能との関連を検討した。

【方法】
大迫研究において、ベースライン調査時35才以上で随時血圧ならびに晩の家庭血圧を 3回以上測定した 2248例 (脳卒中の既往者を除く)を対象とした。随時血圧値は、健診時に2分間の安静の後に連続2回測定した平均値を用いた。晩の家庭血圧値は、日本高血圧学会のガイドラインに準じて、就床直前に2分間以上の安静後に座位で1回の測定を行った。解析には交絡因子で補正したCox比例ハザードモデルを用いて、収縮期血圧、拡張期血圧をそれぞれ別個に、血圧値の直線的な増加と脳卒中リスクとの関連を算出した。

【結果】
平均10年間の観察期間中に、155例の初発脳卒中発症が認められた。晩の家庭血圧は、初回のみであっても、脳卒中の発症を強く予測し (P < 0.001)、測定日数の増加とともに予測能の向上が認められた。随時血圧と晩の家庭血圧を同時に投入したモデルでは、随時血圧の脳卒中発症予測能は拡張期血圧においてのみ有意であったが、その場合も晩の家庭血圧の初回の方が強かった (随時血圧 P = 0.04、晩の家庭血圧の初回 P = 0.006)。また、晩の家庭血圧を2回以上測定した値と随時血圧とを同時にモデルに投入した時、随時血圧は、収縮期血圧・拡張期血圧ともに晩の家庭血圧から独立した予測能を持ち得なかった (随時血圧 P > 0.2)。

【結論】
晩の家庭血圧は、1回のみの測定でも随時血圧を凌駕する予後予測能を持ち、測定日数の増加によってその予測能は確固たるものとなった。晩の家庭血圧は朝の家庭血圧に比べて測定条件が緩やかであるが、それでも随時血圧より予後予測能の観点からは有用性が高く、家庭血圧に基づいた高血圧診療の意義が明らかとなった。