地域住民におけるセルフメディケーションの実態とその関連要因

A Survey of self-medication practices and related factors in the general population: the Ohasama study.

Yakugaku Zasshi.134:1347-1355, 2014. >>PubMed


【目的】
セルフメディケーションの普及が期待されている一方、近年の農村部におけるセルフメディケーションの実態は不明である。本研究の目的は、セルフメディケーションに関する調査として、典型的な農村地域である岩手県花巻市大迫町における一般用医薬品(OTC: over the counter)とサプリメントの使用状況とその要因を明らかにすることである。

【方法】
大迫研究の対象者で、家庭血圧測定事業に参加した一般地域住民1213名に自記式質問票を配布した。質問票は1075名より回収され(回収率88.6%)、そのうち解析対象者は研究参加へ同意し、OTC・サプリメントの使用経験に関する回答および家庭血圧データが得られた1008名である。統計解析には、χ二乗検定、t検定、およびロジスティック回帰分析を適宜用いた。

【結果】
平均年齢は64.2±13.2歳、女性は638名(63.3%)であった。全対象者のうち、OTC・サプリメントの使用経験が有ると回答した者は519名(51.5%)であり、具体名として、OTCでは風邪薬(188名)、サプリメントではサメ軟骨エキスなどの健康食品(145名)が高率で回答に挙げられた。ステップワイズロジスティック回帰分析を行ったところ、OTC・サプリメントの使用経験と有意な関連が二変量解析にて認められた因子のうち、女性(オッズ比/ χ二乗値=1.78/ 25.3)、脂質異常症有り(1.67/ 12.6)、置き薬業者の訪問回数≧年2回(1.48/ 7.0)、および家庭収縮期血圧低値(0.92/ 4.6)がOTC・サプリメントの使用経験の規定因子として選択された(P≦0.03)。OTC・サプリメントの使用経験と家庭血圧収縮期の負の関連は、降圧薬服用者で明瞭である傾向が認められた。

【結論】
大迫町地域住民におけるOTC・サプリメントの使用経験の実態、およびその関連要因が明らかとなった。都市部では約7割がサプリメントの使用経験があると報告されており、それに比べ農村部におけるセルフメディケーションの普及は低率である可能性が考えられる。また、降圧薬服用者においては、OTC・サプリメントの使用経験が、家庭血圧管理良好に寄与している可能性が示唆された。