共通遺伝子多型の蓄積は高血圧の発症と関連する:大迫研究12年間のフォローアップ

Accumulation of common polymorphisms is associated with development of hypertension: a 12-year follow-up from the Ohasama study.

Hypertension Research. 2010;33(2):129-34. >>PubMed


【目的】
本態性高血圧症は複数の遺伝要因が関連する多因子疾患であるが、これまでの研究の多くは単一の遺伝要因に着目したものであった。また高血圧症診断は白衣効果などのバイアスを含む随時血圧に基づいており、研究デザインも横断的なものがほとんどであった。そこで、本研究では、複数の遺伝子多型と高血圧発症との関連を、白衣効果がなく、再現性が良好で、予後予測能に優れている家庭血圧を用いて縦断的に検討した。

【方法】
大迫町の40~79歳の一般住民で、ベースラインで家庭血圧が正常血圧であった403名(平均年齢56歳、男性29%)を対象とした。ミレニアム・ゲノム・プロジェクトにおける症例対照研究で高血圧との関連が示された一塩基多型(SNPs)のうちTaqMan法でタイピング可能であった36 SNPsと古典的候補遺伝子15 SNPsの合計51 SNPsについて、12年間の高血圧発症との関連を検討した。高血圧症は、家庭血圧値135/85mmHg以上もしくは降圧薬服用と定義した。

【結果】
対象者403名中、150名(37%)が12年後に高血圧を発症した。51SNPsのうち、rs3767489(regulator of G-protein signaling 2:RGS2 近傍領域)、rs4961(α-adducin 1:ADD1)、rs2236957(calcium channel, voltage-dependent, alpha 2 / delta subunit 2:CACNA2D2)、rs769214(catalase:CAT)の4つのSNPsが、交絡因子で補正後も高血圧発症と有意に関連していた。高血圧発症リスクの高かったRGS2近傍領域のAA型、ADD1のAA型、CACNA2D2のAA型、CATのTT型およびTC型をリスク多型とし、リスク多型の集積と高血圧発症との関連を検討したところ、これらのリスク多型の数が集積するほど血圧上昇度は有意に大きく(P=0.02/0.009)、リスク多型の数が増加するごとに1.6倍、2.6倍、4.6倍、16.2倍(P=0.2, 0.01, 0.001, 0.006)と高血圧発症リスクが増大した。

【結論】
家庭血圧を用いた12年の追跡により、高血圧発症と関連する4つの遺伝子が同定された。これらのリスク多型の組み合わせにより、高血圧発症予測能はさらに増した。これらのSNPsは、日本の一般住民において、オーダーメイド医療に向け、診断や薬物治療において有用な標的になりうる可能性が示唆された。