一般集団における自宅および職場の収縮期および拡張期高血圧とグルコース代謝との関連性
Association of home and office systolic and diastolic hypertension with glucose metabolism in a general population: the Ohasama study.
J Hypertens. 2022 Jul 1;40(7):1336-1343. >>PubMed
【目的】 高血圧と糖尿病は合併頻度が高いが、治療開始前の血圧と耐糖能との関連の詳細は明らかにされていない。そこで本研究は、高血圧、糖尿病ともに未治療である者において、家庭血圧および診察室血圧の収縮期・拡張期血圧値と経口ブドウ糖負荷試験による血糖値及びインスリン作用指標との関連を検討することを目的とした。 【方法】 対象は、大迫研究にて1997-2019年の間に家庭血圧を5日以上測定し、家庭血圧測定から半年以内に75g経口ブドウ糖負荷試験も受けた、高血圧および糖尿病の治療を受けていない35歳以上の大迫住民646名であった。朝の家庭血圧、就寝前の家庭血圧、診察室血圧のそれぞれより、正常血圧、孤立性収縮期高血圧、孤立性拡張期高血圧、収縮期拡張期高血圧を定義した。各高血圧群における空腹時、糖負荷30、60、120分後血糖値、インスリン抵抗性指標(homeostasis model assessment-insulin resistance (HOMA-IR)、Matsuda–DeFronzo index)、インスリン分泌指標(HOMA-β、インスリン分泌指数)の推定平均値を共分散分析より算出し、正常血圧群と比較した。 【結果】 対象者の平均年齢は62.4歳、男性187名、女性459名であった。朝の家庭血圧では、正常血圧~収縮期拡張期高血圧の人数はそれぞれ459名、25名、81名、71名で、正常血圧と各高血圧群とに血糖値及びインスリン作用指標に有意な差は見られなかった。就寝前の家庭血圧では、各高血圧群の人数は同様に、547名、18名、54名、27名で、正常血圧と比較し、孤立性収縮期血圧で糖負荷120分後血糖値、HOMA-IR(高いほど肝臓におけるインスリン抵抗性が高い)が有意に高く、Matsuda–DeFronzo index(低いほど全身におけるインスリン抵抗性が高い)が有意に低かった。診察室血圧では、各高血圧群の人数は同様に、415名、13名、145名、73名で、正常血圧と比較し、収縮期拡張期高血圧で全血糖値、HOMA-IRが有意に高く、Matsuda–DeFronzo indexが有意に低かった。 【結論】 本研究より、高血圧、糖尿病未治療者において、就寝前の孤立性収縮期高血圧および診察室収縮期拡張期高血圧と、耐糖能の低下に関連がある可能性が示唆された。高血圧の中でも特に孤立性拡張期高血圧については該当人数が少なく、今後他の研究における検討が必要である。

