一般集団における腎機能障害と無症候性ラクナ梗塞および白質病変との関連
Association between kidney dysfunction and silent lacunar infarcts and white matter hyperintensity in the general population: the Ohasama Study.
Cerebrovascular Diseases. 2010;30:43-50. >>PubMed
【目的】 頭部Magnetic Resonance Imaging (MRI)により同定される無症候性脳血管障害,すなわちラクナ梗塞及び白質病変(White Matter Hyperintensities: WMH)は,将来の脳卒中発症と密接に関連することが知られている.従って,無症候性脳血管障害の危険因子を検討することは,症候性脳梗塞・脳血管性認知症の発症・進行予防の観点から重要である.本研究では、無症候性脳血管障害と腎機能障害との関連を検討することを目的とした. 【方法】 頭部MRIを撮影した岩手県大迫町の55歳以上の一般住民をのうち、血清クレアチニンを測定した1008人(平均年齢66.4±5.7歳,男性32.6%)を解析対象者とした.無症候性脳血管障害として,ラクナ梗塞の数(0個,1~2個,3個以上)及びWMH(Grade 0~Grade 3)を評価した.腎機能の指標として,Cockcroft-Gault equationによる、体表面積で補正したクレアチニンクリアランス(Creatinine Clearance: CCr)を用い,CCr 60 ml/min/1.73m2未満を腎機能障害ありとした. 【結果】 各種危険因子で補正した多重ロジスティック回帰分析において,腎機能障害はラクナ梗塞と有意な関連を示した(オッズ比 = 1.68; p = 0.007).腎機能障害と24時間自由行動下血圧はそれぞれ独立してラクナ梗塞と関連していた。また、たとえ血圧が正常値でも腎機能障害を有する群ではラクナ梗塞を有するオッズ比が有意に高値であった(オッズ比 = 1.62; p = 0.047).腎機能障害とWMHとの間に有意な関連は認められなかった. 【結論】 腎機能障害は、各種危険因子とは独立してラクナ梗塞と関連し,24時間自由行動下血圧とは独立して,また相加的にラクナ梗塞と関連することが示された.腎機能障害は無症候性脳血管障害の危険因子,あるいは予測因子である可能性が示唆された.

