一般集団におけるアルドステロン/レニン比と夜間血圧低下との関連
Aldosterone-to-renin ratio and nocturnal blood pressure decline in a general population: the Ohasama Study.
Journal of Hypertension. 29,1940-1947,2011. >>PubMed
【目的】 我々は以前に血漿アルドステロン濃度/血漿レニン活性比(ARR)高値が高血圧と関連することを家庭血圧に基づいて明らかにした。この関連は高Na摂取群で明瞭であったため、ARR高値と食塩感受性増大との関連が示唆された。近年、食塩感受性は夜間降圧減少(non-dipping)の一因であるとされている。よってARR高値は、食塩感受性増大を介してnon-dippingと関連することが予想される。そこで本研究では、岩手県大迫町における地域住民を対象に、ARR、non-dippingおよびNa排泄量の関連を横断的に検討した。 【方法】 対象者は、降圧薬を服用していない55歳以上の岩手県大迫町(現花巻市大迫)地域住民184名(平均年齢68歳、女性72%)である。Non-dippingは、収縮期血圧夜間降圧度<10%と定義した。推定24時間Na排泄量を随時スポット尿からINTERSALT式を用いて算出した。ARRとnon-dippingの関連は、性別、年齢、Body mass index、喫煙、飲酒、糖尿病、高脂血症、脳心血管疾患既往、血清Na、および24時間収縮期血圧を補正した多重ロジスティック回帰分析を用いて検討した。 【結果】 対象者184名であり、non-dippingは65名(34.2%)に認められた。logARRの1標準偏差上昇毎のnon-dippingを有する調整オッズ比(OR)は1.95, P=0.03と有意に高値であった。対象者を推定24時間Na排泄量により3均等分割したところ、高Na排泄群のみでORは3.27, P=0.01と有意に高値であり、同様の傾向が中等度Na排泄群でも認められた(OR 2.18, P=0.05)。しかし、低Na排泄群において関連は認められなかった(OR 1.00, P=1.0)。高Na排泄群において、non-dippingを呈する22名は、dippingを呈する40名に比べ、血漿レニン活性が有意に低値であったが(P=0.002)、血漿アルドステロン濃度に差はなかった(P=0.5)。 【結論】 高Na排泄群において、ARR高値はnon-dippingと関連していた。高食塩摂取を食文化とする日本において,ARR高値はnon-dippingに関与していることが示唆された。この関連に、比較的アルドステロン高値または低レニン性高血圧による食塩感受性増大が介在している可能性がある。

