一般地域住民における異なる時間定義に基づく夜間降圧度と脳心血管長期予後との関連

Nocturnal blood pressure decline based on different time intervals and long-term cardiovascular risk: the Ohasama Study

Clin Exp Hypertens. 2018;40:1-7. >>PubMed


【目的】
夜間に降圧がみられない夜間降圧の消失は、脳心血管疾患の危険因子である。夜間降圧度を定義するには24時間自由行動下血圧を昼間と夜間に分離する必要があり、それには被験者の行動記録、または決められた時間 (fixed-clock) に基づく方法が主に用いられてきた。本研究では、これらの異なる時間定義が夜間降圧度の脳心血管疾患死亡予測能に及ぼす影響を比較検討した。

【方法】
対象者は、岩手県花巻市大迫町在住で、脳心血管疾患既往のない35歳以上の1,714名である。夜間降圧度を、収縮期血圧を基に(昼間-夜間)/昼間×100, %として算出し、Extreme dipper (ED)、Dipper (D)、Non-dipper (ND)、およびRiser (R)をそれぞれ夜間降圧度≧20%、10-19%、0-9%、および<0%と定義した。1. 行動記録、2. Standard fixed-clock(昼間 09:00-21:00;夜間 01:00-06:00)、または3. Shifted fixed-clockとして「2. Standard fixed-clock」の昼間または夜間の時間帯を前後2時間シフトした時間、の3つの時間規定に基づく夜間降圧度と脳心血管疾患死亡の関連を、Cox比例ハザードモデルで検討した。

【結果】
女性は64.9%、平均年齢は60.6歳であった。平均の起床時刻は5:45、就寝時刻は21:33であった。平均17.0年の観察で、206例の脳心血管疾患死亡が認められた。結果を図に示す。行動記録ベースの夜間降圧度を用いた場合、Dipper群を基準としたRiser群の調整ハザード比が2.29(P=0.0003)と有意に高値であった。Standard fixed-clockを用いた場合も同様であったが、Riser群の調整ハザード比は1.55と、行動記録ベースの場合よりも低値を示した。Shifted fixed-clockを用いた場合、Riser群のハザード比は、Night-time early shiftedの2.02と最高であり、反対にNight-time late shiftedでは有意差が認められなかった。

【結論】
夜間降圧度定義のために夜間と昼間を分離する場合、Standard fixed-clockに基づく定義は許容されるが、行動記録ベースに基づく定義が脳心血管疾患予後を予測するうえでより適切であることが示唆された。また、fixed clockを用いる場合、対象集団の就寝時間帯を考慮することが重要と考えられた。