慢性腎臓病と高血圧の組み合わせによる脳卒中の生涯リスク

Lifetime risk of stroke stratified by chronic kidney disease and hypertension in the general Asian population: the Ohasama study.

Hypertens Res. 2021 Jul;44(7):866-873. >>PubMed


【目的】
生涯リスク(lifetime risk: LTR)は、ある時点の年齢から死亡するまでに疾患を発症する確率を示した指標であり、一般市民が理解しやすい指標として注目されている。しかし、慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)がもたらす脳卒中発症LTRを算出した報告はない。本研究では、CKDの脳卒中発症LTRを高血圧の有無別に算出した。

【方法】
岩手県花巻市大迫町住民1,525名(平均63.1歳、女性66.0%)を対象にLTRを算出した。その際、死亡による脱落を競合リスクとして調整した。CKDは推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate: eGFR)が60 mL/min/1.73m2未満、かつ/または尿蛋白陽性と定義し、高血圧は収縮期/拡張期血圧≥140/≥90 mmHg、かつ/または降圧薬内服と定義した。

【結果】
平均16.5年の追跡中、238例の脳卒中発症を認めた。基準年齢を45歳とした10年リスクは0.0%であったが、男・女のLTRはCKD非有病かつ非高血圧者で20.9%・14.5%、CKD非有病の高血圧者で37.9%・27.3%、CKD有病の非高血圧者で34.1%・29.8%、CKDと高血圧ともに有病者で38.4%・36.4%であった(図)。これらのLTRは基準年齢が高齢ほど低値を示した(図)。

【結論】
CKDは高血圧と同等に脳卒中発症LTRに寄与し、より若年からのCKDと高血圧の予防が脳卒中抑制に重要と考えられた。

図 基準年齢を45、55、65、および75歳とした男女での各グループの脳卒中発症LTR