ウエスト周囲径の最適なカットオフポイントと家庭血圧

Optimal cutoff point of waist circumference and use of home blood pressure as a definition of metabolic syndrome: the Ohasama study.

American Journal of Hypertension. 2008:21;514-520.  >>PubMed


【目的】
軽症リスクの蓄積に対する警鐘としてメタボリックシンドローム(MS)の臨床的重要性が確立されつつある。MSの診断には外来随時血圧(CBP)が用いられているが、CBPより脳心血管疾患の予後予測能に優れた家庭血圧(HBP)を用いることで、MS有病者を一層的確に捉えることが可能と予想される。一方、MS診断基準に用いられるウエスト周囲径の基準値には異論が多く、BMIと比較した有用性も明らかでない。そこで今回、MS診断基準におけるHBPの有用性ならびに適切な肥満指標とその基準値について検討した。

【方法】
岩手県花巻市大迫町の一般地域住民で,2000年から2006年の間にHBPを測定し、住民検診時にウエスト周囲径測定・空腹時血液検査を実施した395名(男性118名、女性277名)を解析対象とした。まず、日本のMS診断基準からウエスト周囲径を除き、血圧基準としてCBPあるいはHBPを使用した。このMS診断基準の3項目(CBPまたはHBP高値,脂質代謝異常あり,空腹時血糖高値)のうち2項目以上を有するか否かをゴールドスタンダードとし、ウエスト周囲径ならびにBMIに関する受信者動作特性(ROC)分析を実施した。続いて、本検討で得られたウエスト周囲径の適切なカットオフ値を必須項目とした上で、血圧基準を除く2項目 (脂質代謝異常あり,空腹時血糖高値) のうち1項目以上を有するか否かをゴールドスタンダードとし、CBPおよびHBPに関する多重ロジスティック回帰分析を実施した。

【結果】
ROC分析の結果、ウエスト周囲径とBMIのROC曲線下面積に有意差はみられなかった。ウエスト周囲径のMS診断に最適なカットオフ値は、男性87cm、女性80cm、BMIの最適なカットオフ値は男女ともに24~25kg/m2であった。血圧値1標準偏差上昇毎の、血圧基準を除いたリスクの集積のオッズ比は、CBP・HBPを同時にモデルに投入した場合、収縮期・拡張期ともにHBPのみ有意(収縮期1.86; 95%信頼区間1.29-2.66, 拡張期1.97; 95%信頼区間1.37-2.85)であった。

【結論】
日本人女性におけるウエスト周囲径基準値は、2005年に提唱された日本版MS診断基準の値(90cm)に比べ、より小さい値が適当であることが示唆された。また、MSリスクの集積に対するHBPのオッズ比が有意であったことから、MS有病者を一層的確に捉えるためには、CBPの代わりにHBPをMS診断基準に用いるべきことが示唆された。