ナトリウム摂取量が多い者と少ない者におけるアルドステロン/レニン比と家庭血圧との関係

Aldosterone-to-renin ratio and home blood pressure in subjects with higher and lower sodium intake: the Ohasama study.

Hypertension Research. 34,361-366,2011. >>PubMed


【目的】
血漿アルドステロン濃度/血漿レニン活性比(ARR)高値と高血圧の関連が過去に報告されている。しかし、これらの研究は防御・警鐘反応に由来する白衣効果などのバイアスが加わった随時血圧に基づいており、信頼性が高いとは言えない。さらに、Na摂取・排泄がARRと高血圧の関連に及ぼす影響について一貫した見解が得られていない。そこで本研究では、家庭血圧に基づいて、ARR、高血圧有病、およびNa摂取量の関連を明らかにすることを目的とした。

【方法】
対象は岩手県花巻市大迫町の一般地域住民514名(女性71%、平均年齢60歳)である。各血圧値に基づき、家庭高血圧を家庭血圧≧135/85 mmHg、随時高血圧を随時血圧≧140/90 mmHgと定義した。Na摂取量は、妥当性が確認されている食物摂取頻度調査法を用いて算出した。ARRと高血圧有病の関連は、性、年齢、body mass index、喫煙、飲酒、糖尿病、高脂血症、脳心血管疾患既往歴、血清Na濃度およびNa摂取量で調整した多重ロジスティック回帰分析を用いて検討した。

【結果】
全対象者514名におけるlogARRの1標準偏差(SD)上昇毎の家庭高血圧有病オッズ比は、1.37、P=0.04と有意に高値であった。同様の解析を随時高血圧についても行ったが、有意な関連は認められなかった(P=0.2)。Na摂取量中央値[4822 mg/日(食塩相当量:12g/日)]で層別解析したところ、高Na摂取群において、logARRと家庭高血圧有病のより明瞭な関連が認められた(オッズ比2.25、P=0.002)。一方、低Na摂取群ではこれらの関連は認められず(P≧0.8)、Na摂取量とlogARRの家庭高血圧有病に対する有意な交互作用が認められた(P=0.03)。いずれの解析においても、血漿アルドステロン濃度と高血圧有病の有意な関連は認められなかった。高Na摂取群において、家庭高血圧の群(30名)の血漿レニン活性は、家庭正常血圧の群(227名)と比べて有意に低値であったが、血漿アルドステロン濃度については差が認められなかった。

【結論】
ARR高値と家庭高血圧の有意な関連が認められた。この関連は高Na摂取群において明瞭であったことから、比較的アルドステロン高値あるいは低レニン性高血圧が、一般住民における食塩感受性高血圧の一因である可能性が示唆された。